大嫌いと言われた元カレに再会したら、息子ごと溺愛が待っていました
翌朝、秀也が目を覚まし、三人で朝食を済ませた。

「ごちそうさまでした」

秀也が手を合わせて箸を置いたのを見計らうと、よしと居住まいを正し、秀也に向き直る。

「あのね……秀也、話があるの」
「寧子。やっぱり俺から言わせてほしい」

拓也は、椅子から立ち上がり秀也の前に膝を突くと、目と目を合わせる。

「実は……秀也のお父さんの話なんだけど」

拓也が滅多にないほど緊張しているのがわかる。突いた膝の上で握りしめた拳がかすかに震えていた。

「あぁ、犬飼さんがお父さんって話?」

秀也が首を傾げながらあっけらかんと言った。
あまりの驚きで、私と拓也は顔を見合わせ押し黙る。秀也の前でバレるような話をしてしまっただろうか。いや、覚えがない。

「どうして、わかったんだ?」
「なんか車の中で、僕に父親だって打ち明けられる覚悟ができてからでいいって言ってたから。あ、そのあと、お母さんたちチューしてたね!」

秀也はそう言って、口づけの真似をしているのか唇を尖らせる。緩んだ空気に拓也は安堵の息を吐く。

「起きてたのか」

拓也は脱力したようにため息をつきながらそう言った。
私はと言えば、息子にキスシーンを見られ、どういう顔をしていいかわからずテーブルの上に突っ伏した。

「うん、なんか邪魔しちゃだめかなって」

小学三年生にして空気を読みすぎではないだろうか。恥ずかしすぎる。

拓也は仕切り直すように「秀也」と名前を呼んだ。秀也がやや照れた様子で拓也へ視線を向ける。
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