怜悧な外科医の愛は、激甘につき。~でも私、あなたにフラれましたよね?~
――残念ながら、お父様はかなり重篤な脳出血を発症していて、命が助かったとしても重い後遺症が残るでしょう。

――そんな! だって、最善を尽くしますって……そう言ったじゃないですか!

――ええ、ですから救命処置はしました。後はお父様の生命力にかけるしか……ケースワーカーと相談の上、介護保険の申請などをお勧めします。

今朝の目覚めは最悪だった。

父の病院へ行った日の夜は、いつも父が救急搬送されたときの夢を見る。当時二十四歳だった私はもういい大人なのにわんわん泣きじゃくり、困ったような医者の顔がまだ脳裏に焼き付いている。

はぁ、いつまでもこんなことじゃだめなのはわかってるけどね……今日も仕事頑張ろ。

職場に到着し、従業員専用出入口ドアの前で「よし!」と気合いを入れてノブに手を掛けようとしたときだった。

「よう、あれから具合はどうだ?」

背後から聞き覚えのある声がして、振り向くとすぐ後ろに私服姿の相良さんが立っていた。
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