シークレットベビー~初めまして、愛している。記憶喪失からはじまる二度目の結婚生活は三人で~
私達は会社を早退した。
慧斗さんがお義母さんに連絡入れると香典を渡すから取りに来てくれと言われ、私達は車で邸宅に向かった。
山手の高級住宅街にある純和風の邸宅。

洋風の建物が多い中、桑原邸は目立った。

車に乗ったまま余裕で通れる大きな数寄屋門の中を入っていく。何度足を運んでも、緊張する。

亡くなった彼の祖母は茶道の先生をしていたらしく、奥には立派な茶室を備えていた。

「慧斗…」

お義母さんは久しぶりに見る慧斗の姿に大喜び。

「お仕事、忙しいらしいわね」

「まぁね」

「お茶用意するから上がりなさい」

「いや、お茶はいいよ、それよりもトイレ貸して」と慧斗さんはさっさと革靴を脱いで上がり、お手洗いに行ってしまった。

私とお義母さんの二人。

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