ダブル シークレットベビー ~御曹司の献身~
 


 仕事で移動中、青葉はあの店の近くを通った。

 信号が赤になったので、なんとなく店の方を見る。

 今日は会社の車なので、後部座席から、ゆっくり通りを窺えた。

 外で、あの女店主がランドセルを背負った学校帰りらしい子どもたちと話している。

 あの店主、名前はなんと言ったかな。

 なにか動転してて覚えてないな。

 この俺が動転するなんて、あまりないことだが。

 まあ、事故をしたのなんて初めてだったしな。

 いきなり、車道を横切ろうとしたおばあさんを避けてハンドルを切り。

 脇道に勢いがついたまま入ろうとしたのだが、今度はそこに猫がいて。

 結局、あの店先に突っ込んでしまったのだ。

 書類は保険会社やなにかがやってくれたし。

 そういえば、まだ確認してなかったな、と思いながら、持ち歩いていた書類を見ようとしたとき、車が動き出した。

 信号が変わったようだ。

 気がついたら、助手席をつかんで、身を乗り出していた。
 急いでドライバーに言う。

「すまないが、ちょっとこの近くで止めてくれ」



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