【コミカライズ決定】婚約者の浮気相手が子を授かったので
「え? もしかして、熱で肺がやられたのか?」
 エルランドがファンヌの顔を覗き込んできた。
「ち、違うと思います……」
 怪訝そうに眉根を寄せているエルランドは、じっとファンヌを見つめている。
「ずっとなんです。こちらに来てから、ずっと……。エルさんといると、心臓がドキドキして、胸が苦しくなるんです」
 エルランドが、はっと息を呑んだのをファンヌも感じた。
 ファンヌもなぜ今、それを口にしようとしたのか、わからない。
 だけど、今なら言えそうな気がした。むしろ、今じゃないと一生口にすることはできないのではないかとも思っていた。
「ずっと病気だと思って、大先生にも相談したのですが、病気ではないって。そういうのは同じ女性に相談した方がいいと言われて、サシャに相談しました」
 サシャは年齢もファンヌに近いところもあるため、ちょっとしたことの相談がしやすい相手でもある。エリッサも話しやすいのだが、エルランドの妹ということもあり、この件を相談するには躊躇(ためら)うところもあった。
「サシャが言うには。多分、私が、エルさんのことを好きだからじゃないのかって」
 エルランドがファンヌの手を握りしめてきた。何か言いたそうに口を開きかけるが、ファンヌの話が途中であることに気づいたのだろう。言いかけた言葉を飲み込むようにして、じっとファンヌの言葉を待っている。
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