【コミカライズ決定】婚約者の浮気相手が子を授かったので
「ああ、そうだ。マルクス。お前に報告があったんだ」
 ソファに座りながらエルランドが口を開く。
「オレとファンヌ。婚約したんだ。ということで、これでお前に結婚できないとは言わせない」
 エルランドの隣に座ったファンヌは、思わず噴き出しそうになった。
(どうしてこのタイミングでその件を報告するの?)
 お茶を淹れようとしていたマルクスの背中が震えている。そして振り返り、目を大きく開いてエルランドを見ていた。
「え? 君とファンヌが? ファンヌは王太子殿下と婚約をしていた……。いや、解消されたか……。え? いや、ちょっと待て。とりあえずお茶を淹れる」
 お茶を淹れるマルクスの手が震えていた。よほど動揺しているのだろう。
 三人分のカップを手にしたマルクスがソファに座っても、まだ震えていた。
「そんなに驚くことか? 失礼なやつだな」
「失礼なやつって。君には言われたくないな。君の方がよっぽど失礼なやつだろう?」
 そう冗談を言い合っているうちに、マルクスの震えはおさまったようだ。
「それで、私の聞き間違えでなければ、エルランドはファンヌと婚約をした。つまり、結婚する予定があるということか?」
「そうなるな。結婚の予定がなければ婚約などしないだろう。本当はすぐにでも結婚をする予定だったんだが。いろいろ揉めて、婚約の状態だ」
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