【コミカライズ決定】婚約者の浮気相手が子を授かったので
「ファンヌ嬢。先ほども言ったが、我々の相手は何よりも『番』であることが優先される。君にどのような過去があろうと、エルランドが認めたのであれば、気にする必要はない。むしろ、エルランドはこんな性格だからね。君のような女性がエルランドの手綱を握ってくれると、こちらとしても非常に助かる」
 国王の言葉は穏やかでありながら、重みがある。そして、優しさも滲み出てきた。リヴァス国王と同じ国王とは思えないほどに。
 王妃もにっこりと微笑んだ。
「それにね。エルランドはローランドの臣下として、この王宮で王宮薬師として働くことが決まっているのよ。もしよかったら、あなたも王宮調茶師としてここで働いてみたらどうかしら」
 さすがエルランドの母親なだけのことはある。王妃はファンヌが興味を持ちそうな言葉を並べ立ててくる。もちろんそれは、ファンヌにとって魅力的なお誘いであった。もちろん、彼女が出した答えは。
「はい。やりま……」
 とファンヌが言いかけた時、エルランドにその口を手でふさがれ、続きの言葉は彼の手の中に消え去った。
「母上。適当なことをファンヌに吹き込まないでください」
「あら、適当なことではないでしょう? ローランやルフィが言った通り、どうせ『研究』を餌にして、彼女を連れてきたのでしょう? だから私は、それを叶えさせてあげようとしただけよ」
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