僕の特技は秘密です
自宅から2時間半かけ祖父母の家に着くと、早速お土産を車から下ろす。

雅からのお土産だと伝えると大喜びをしていた。もちろん、祖父母も雅信者だ。
後で戻ってきて、今日はここに泊まると話すと雅が泊まる時ほどではないが喜んでくれた。
流石に、ここまで年が離れると喜ばれ具合に差があっても気にならない。

任務を終えるとつーちゃんの通う高校へと車を走らせる。
車を近くの駐車場にとめ、歩いて門まで向かうと、学校の敷地に入らずとも学校の盛り上がり具合がよくわかった。

高校を卒業してまだ数年しか経っていないが、母校でもないのに懐かしい気がした。

つーちゃんと同じ高校生活を送りたかったなぁ。
今日は学生時代に戻った気持ちで楽しく過ごせたらいいなぁ。と思った。

校門に着くと流石にここからは連絡をしないとわからない。

つーちゃんにメッセージを送ると、4階の階段側の教室だと返事が来た。

階段を上り、教室に向かっていると周りの女の子たちが自分のことを噂しているのに気づく。
きっと、例のアイドルグループのやつに似ているとか騒いでいるんだろう。
普段、大学では地味な恰好をしているが、今日はつーちゃんに会うので、服装や小物まで橘と沙紀さんにプロデュースしてもらった。顔も出るような髪型だから余計に目立ってしまったのかもしれない。
でも、つーちゃんと会うチャンスが少ない今は、少しでも気に入られたい。頑張るしかなかった。
教室をのぞくとつーちゃんを見つけた。友達と話しているんだろう。楽しそうに笑っている。

「…っつー…。」

つーちゃんと言いかけてやめる。

この呼び方されたら子供みたいで嫌かな…。

「椿ちゃん!!」

いつもと違う呼び方をして小さく手を振った。
僕を見つけると嬉しそうな笑顔になり

「旺介くん!いらっしゃい!」

と手を振り返してくれた。
あんな笑顔を見せて僕が来たことを喜んでくれると顔がにやけて止まらなくなる。
橘がここにいたら絶対に気持ち悪い。と言われるに違いなかった。
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