僕の特技は秘密です
つーちゃんが案内してくれたテーブルに座ると見たことがある女の子がオーダーを取りに来てくれた。

「こんにちは!ご注文はいかがなさいますか?」

…えーっと、名前が思い出せない。つーちゃんの長なじみで…。一度神社であってる。名前何だったけかな?
エプロンについてたネームプレートには『RKAKO(リカコ)』と書いてあった。
…セーフ。好きな子の仲良しの名前を忘れてはポイントが下がってしまう。

注文かぁ…。ふと見ると大吾くんがこっちを見ている。
なんとなくつーちゃんを取られたくないと思い、つーちゃんの分もオーダーする。

「…あ、じゃあ…。ケーキセット2つで。飲み物はアイスコーヒーと椿ちゃんの好きなものを。」

と言いながら、手招きして少し離れたところにいたつーちゃんをそばに呼ぶ。

「僕、今日は一人で来たんだ。寂しいから椿ちゃんも一緒にいて欲しいな。何飲む?」

ちょっとズルいが断れないようにぐいぐい行く。

「えっ?わたし、まだ当番だし…。」

まじめなつーちゃんは予想通りの返事をしてきた。
さて、もう少し押した方がいいか?と考えていると、

「いいじゃん!せっかくなんだしご馳走になったら?」

と、オーダーを取りに来てくれた梨香子ちゃんが言う。

ナイスアシスト!心の中でガッツポーズをとる。

お友達に促され、僕の向かいの席につーちゃんが座る。
ふと視線を感じ、そちらを向くと大吾くんがにらみを利かせていた。

あぁ、やっぱり。
きっと、彼はつーちゃんが好きなんだ。僕をにらんで牽制しているつもりなのかもしれない。
< 85 / 102 >

この作品をシェア

pagetop