僕の特技は秘密です
校内を歩き回る時もなるべく早く手を繋いでいるのが他の生徒に見えるように意識した。

大吾くん意外にもつーちゃんのことを好きなやつがいるかもしれないから念のためだ。

こんなにせこい事してバレたら嫌われるだろうか?

僕にこんなことをさせるのはつーちゃんくらいなんだろうな。

色々な教室を周っていると上着のポケットでスマホが震えていることに気が付いた。

「あ、ごめん、電話鳴ってる。」

残念だが一時的につーちゃんの手を離し、スマホを取り出し耳にあてた。

着信は妹からだった。

「もしもし?(みやび)?どうしたの?」

『もしもし。旺ちゃん?じぃとばぁにお土産わたしてくれたの?』

「…ちゃんと渡したから。」

『旺ちゃん、最近お出かけばっかりで雅つまんない!全然雅と遊んでくれない!』

我が家の姫は少々ご立腹のようだった。

「わかった、会う時間作るから。じゃあね。」

と適当に返事をしサッサと電話を終わらせた。

「ごめんね、次はどこに行く?」

と俯き加減になっているつーちゃんに声をかけ、再び手を繋いだ。
もちろん恋人繋ぎだ。僕は完全に大人気なく浮かれていた。

なのでこの雅からの電話でつーちゃんが大きな勘違いをしていたなんて気付きもしなかった。

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