僕の特技は秘密です

神社と少女

秋魂(あきたま)神社には古くからの言い伝えたがあるため、こんな田舎の村の神社にしては境内は広くお社は立派にできている。

この神社の宮司の娘、伊勢 椿(いせ つばき)の家系は女児が生まれることが多く、代々婿養子を取り受け継がれてきた。
椿の父も巫女である椿の母と結婚、婿入りして宮司になった。

村一番の美人であった椿の母、(みやび)は椿が小学生の頃に交通事故で亡くなった。
その事故で雅と一緒にいた椿も巻き込まれ、何とか一命をとりとめたが、約一か月ほど意識不明の状態が続き、目覚めたときは後遺症として、大切な母との思いでを失っていたり、空想の友達との思い出があったりと記憶障害が残っていた。

つまり、事故より前の記憶が事実なのか空想なのか椿自身ではよくわからなくなっており、時折、父や友人に確認したりしている。

母が亡くなってからは、母の祖父母と父の四人でこの神社の敷地内にある住居エリアに住んでおり、中学生までは祖母が家事のほとんどを担っていたが、高校生になってからは家事をするようになり、アルバイトを兼ねて休日には巫女として神社の手伝いをするようになった。

伊勢家は女系なので祖母も以前は巫女として神社の仕事をしていたので、家事や神社の仕事など全て祖母に教わった。
その時に、神社の由来など改めて知ったのだ。

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