結ばれてはいけない御曹司に一途な想いを貫かれ、秘密のベビーごと溺愛されています
彼女となら、もっと一緒にいたいと感じる。菫花となら、一日中一緒にいても足りないくらいだ。

二十八年生きてきてようやく巡り合えた、愛おしいと思える女性。

これを逃したら、次はないかもしれない。心を許せる女性に一生巡り会えない可能性もある。

――菫花でなければならない。俺には菫花しかいない。

執着に近いものを感じると同時に、菫花についた嘘が自分へと跳ね返ってきた。

自身の出自をどうやって明かせばよいか。彼女は俺の家柄を聞いて、目の色を変えることはないだろうけれど、身構えることはあるかもしれない。

それほどまでにこの『藤ヶ音』の名は人の心を乱す。

機会を見計らっているうちに、船内で予期せず兄と出くわしてしまい、俺はしまったと内心冷や汗をかいた。

俺が打ち明けるよりも先に兄の口から『藤ヶ音』の名を出され、加えてプラチナスイートに宿泊していることもばらされてしまう。

菫花の態度は途端によそよそしくなり、やはりと頭を抱えた。媚びを売るのではなく、距離を取ろうとするのは、彼女らしいが。

そういうところも含めて、やはり俺は、そばにいるなら彼女がいい。

そう確信し、船を降りたあともずっと一緒にいようと誓った。

菫花の体を貪り、責任を取らせてほしいと口実をつけて、一生をともにする約束をした。

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