結ばれてはいけない御曹司に一途な想いを貫かれ、秘密のベビーごと溺愛されています
俺は短く息をつく。『兄は国連のテロ対策ユニットに所属していて、テロリストの資金供給源と思われる資産家を見張っているところだった』――菫花に説明したあの嘘のような話は、おおよそ実話だ。
兄が一緒にいた女性は、あの客船の関係者だ。調べがついたということは、彼女から有力な情報を聞き出せたのだろう。
どんな手を使ってしゃべらせたのかは聞かないでおく。褒められたことではないのは確かだ。
「専門の組織に詳しい調査を依頼している。やがて証拠が挙がるだろう」
兄が生き生きと語る。スパイまがいのことをして心を躍らせている兄を見る限り、日本でおとなしく経営者に収まるつもりはなさそうだ。
兄に家督を継いでもらうのは、あきらめた方がいいのかもしれない。
「……かといって、俺に期待しないでくれ」
兄はにこにこと笑って濁し、俺の言葉をごまかした。
それから月日は流れたが、俺はかつて愛した女性を忘れられずにいた。
実際に菫花が結婚したと聞けば、あきらめがついたのかもしれないが、その知らせが一向に耳に入ってこなかったのだ。
他の女性に目を向けようと努力もしたが、徒労に終わった。彼女とともにいるときの安らぎや高揚感は、別の女性からは得られない。
兄が一緒にいた女性は、あの客船の関係者だ。調べがついたということは、彼女から有力な情報を聞き出せたのだろう。
どんな手を使ってしゃべらせたのかは聞かないでおく。褒められたことではないのは確かだ。
「専門の組織に詳しい調査を依頼している。やがて証拠が挙がるだろう」
兄が生き生きと語る。スパイまがいのことをして心を躍らせている兄を見る限り、日本でおとなしく経営者に収まるつもりはなさそうだ。
兄に家督を継いでもらうのは、あきらめた方がいいのかもしれない。
「……かといって、俺に期待しないでくれ」
兄はにこにこと笑って濁し、俺の言葉をごまかした。
それから月日は流れたが、俺はかつて愛した女性を忘れられずにいた。
実際に菫花が結婚したと聞けば、あきらめがついたのかもしれないが、その知らせが一向に耳に入ってこなかったのだ。
他の女性に目を向けようと努力もしたが、徒労に終わった。彼女とともにいるときの安らぎや高揚感は、別の女性からは得られない。