結ばれてはいけない御曹司に一途な想いを貫かれ、秘密のベビーごと溺愛されています
三年が経った頃、祖父が急死。両親とともに祖父の身辺を整理していた俺は、気になるものを見つける。

今度は俺が兄のいるアメリカに押しかけ、問い詰めることになった。

「兄さん。これはどういうことだ」

祖父の口座の写しを広げ、不審な送金記録を突きつける。

「じいさんの口座に、どうして俺が関係あるんだ?」

兄はしれっと肩をすくめた。

「しらばっくれないでくれ。俺と菫花の中を知るのは、兄さんだけだ」

菫花と別れた直後から始まった、綿来製鉄への定期的な出資――これが意味するところは手切れ金だろう。

兄と祖父は、菫花が俺の結婚相手に相応しくないと判断した。

経営危機に陥っている綿来製鉄に手切れ金と称した出資をちらつかせ、菫花が俺に近づかないようにした――真相はそんなところだろう。

「兄さんが祖父に菫花のことを吹き込んだんだろう。菫花の政略結婚も、綿来製鉄の合併の話も、全部でまかせか」

何年経っても合併話が出回らないから、おかしいとは思っていたのだが。菫花も政略結婚どころか家を出て姿をくらましており、行方知れずだ。

「納得のいく説明をくれ」

観念したのか、兄は取り繕うのをやめて、口の端をにやりと持ち上げた。

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