結ばれてはいけない御曹司に一途な想いを貫かれ、秘密のベビーごと溺愛されています
これが理仁さんにとって、杏花にとって、そして私にとっての最善だと信じて。

「しゃんにん、いっしょ?」

指でへたっぴな『三』を作った杏花に、理仁さんは微笑みかける。

「ああ。これからは毎日一緒だ」

「パパ、ほんとのパパになゆ?」

「ああ」

杏花は幼いなりによく理解していたのだ。パパはパパだけれど、まだ完全にパパではないと。

でも今この瞬間、ようやく本物のパパと言える存在になった。

杏花は心の底から嬉しかったのだろう、きゃっきゃっとあどけない笑い声を響かせる。

その無垢な笑顔は私の決断を肯定してくれているかのようで、救われた。



食事が終わると、理仁さんは客間に案内してくれた。しばらくは私と杏花の寝室として使う予定の部屋だ。

「杏花にベッドは危険かな?」

寝ている間にごろんごろん寝返りをうち体勢を変える杏花は、ベッドから落ちてしまうかもしれない。相談の末、マットを床に下ろし、段差を低くして眠ることにした。

「少しずつ、ふたりが暮らしやすいように部屋を整えていこう。なんなら、一軒家を買ったっていい」

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