結ばれてはいけない御曹司に一途な想いを貫かれ、秘密のベビーごと溺愛されています
この部屋は一応単身用らしい。といっても、リビングに寝室、書斎、客間と、家族で暮らすにも充分な間取りなのだが。

「そんな贅沢はいりませんよ。これまで私たち、あの部屋に住んでいたんですから」

おんぼろワンルームに比べたら、豪邸だ。

「私は、三人で一緒にいられれば、それ以上は……」

幸せすぎて、お腹がいっぱい。しかし、理仁さんは「まだまだ足りない」と言って私の肩を抱く。

「これまで力になれなかった分、たくさん甘やかしてやりたいんだ」

私のこめかみにちゅっとキスを落とす。そして、ちょっぴり眠そうな杏花の頬にも。

「……できれば、もっと大きな部屋を寝室にして、親子三人並んで寝たいんだが」

はにかむように言う理仁さんに、私は胸の前で手を握りしめた。

それは、噂に聞く『親子で川の字』というやつかしら……?

私は幼い頃に自室を与えられ、自分のベッドで眠っていたから、家族揃って寝た覚えがない。

「私もしてみたいです!」

「やはりもう少し広い家を探してみるか」

「ももか、ゆうえんちがいいー!」

それぞれの夢を乗せた家族生活が始まろうとしている。

とびきり幸せな家庭を作りたい、そう願うばかりだ。



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