結ばれてはいけない御曹司に一途な想いを貫かれ、秘密のベビーごと溺愛されています
「……そういえば、菫花はブログをやっていたよな」

「ええ、やっていましたが……」

『シングルマザーの楽ちん素敵飯』――だが、もはやシングルマザーではない私がそのブログを運営するのは問題だろう。

「ブログはもう閉鎖しようかと……」

「なぜだ? 料理は菫花の趣味だろう?」

「それは、そうですが」

「実益を兼ねたいい趣味だと思うけれど? 俺も杏花も、毎日おいしい料理が食べられたら嬉しい」

理仁さんの言葉に気づきを得る。

家族を幸せにできて、お金も稼げて、私自身も楽しめること。これらをひとつにできないだろうか。

「俺が君に妻として求めることは、幸せでいてほしい、ただそれだけだ。延いてはそれが杏花を幸せにする。俺のことも」

理仁さんが私の額にちゅっと口づけを落とす。突然の愛情表現に私は少しだけ動揺しながら、額に手を当てて彼を見つめ返した。

「それが満たされるなら、なにをしてくれてもかまわない」

「……ありがとうございます」

理仁さんは私を聞きたがりだと言うけれど、やはり人の意見を聞くのは大切だと思う。自分の凝り固まった価値観では思いつかないような閃きをくれるから。

< 144 / 182 >

この作品をシェア

pagetop