結ばれてはいけない御曹司に一途な想いを貫かれ、秘密のベビーごと溺愛されています
――それにせっかくなら、みんなに喜ばれることがしたいもの。

理仁さんと杏花の幸せが私の幸せ。ふたりが笑っていてくれるのが一番。

でもそれには、私が幸せでなきゃならないのね。

それを教えてくれた理仁さんに、やっぱり私は感謝しかない。



翌日、私は実家に電話をして、母にこれまでのことを説明した。

これからは理仁さんが家業に出資してくれること。もう私の出産を対外的に隠す必要はないこと。

今までは両親に杏花の顔を見せられなかったけれど、これからは堂々と里帰りもできる。こんなに幸せなことはない。

「杏花もね、おじいちゃんとおばあちゃんに会いたいって」

杏花が帰省を楽しみにしていることを伝えると、母は声を詰まらせた。

「お母さん?」

『……ごめんなさい、なんだか胸が熱くなってしまって。私たち、菫花にひどいことばかりしてきたのに、こんな……幸せな……』

両親は私を置いて失踪したことをまだ気に病んでいる。それだけじゃない、処理できないほどの負債を抱えてしまったことも、ひとりで出産させてしまったことも、全部申し訳なく思っているみたいだ。

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