結ばれてはいけない御曹司に一途な想いを貫かれ、秘密のベビーごと溺愛されています
でも彼らは、私が杏花を産むと決めたとき、始めは反対したけれど、最終的には理解してくれた。産みの苦しみも幸せも、全部知っていたからだろう。

「私、子どもを産んで、あらためてお母さんにありがとうと思ったわ」

子どもを育てるのは大変なことだ。こんなにも愛情を注いでくれたのだと、自分の立場に置き換えてようやく気づいた。

『それじゃあ、この気持ちもわかるでしょう? 私は菫花に、立派に育ってくれてありがとうって思っているわ』

思わずふふっと笑みがこぼれた。杏花が一人前に成長して、私のもとを巣立ったら、きっと同じことを思うのだろう。

『……ねえ菫花。お母さんの杞憂ならいいのだけれど』

ふと母が前置きして切り出す。

『理仁さんは、本当に菫花を正妻として認めてくださるのかしら』

突然の不穏な質問に、私は眉をひそめた。

「どういう意味?」

『藤ヶ音家といえばとんでもない名家なのよ? しかも、理仁さんは跡取り息子なんでしょう? そんな人がどうして落ち目のうちなんかに……』

「理仁さんは、家柄なんて気にしていないわ」

『理仁さんが気にしていなくても、お家の方々はきっと気にしているわ』

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