結ばれてはいけない御曹司に一途な想いを貫かれ、秘密のベビーごと溺愛されています
「あなたが隠れて出産したことは知っていました。ですが、理仁さんに迷惑をかけないのならと、目を瞑ったんです。それが、今さら図々しくも理仁さんに縋りついて、子どもを餌に責任を取らせるなんて」

「餌だなんて……」

もちろん、杏花を餌にしようだなんて考えたことはない。けれど、淡々と責め立てる三原さんに気圧されて、どう説明したらいいのかわからない。

彼女は口調こそ冷静だけれど、言葉からは怒りが溢れている。

「あなたは最低な女です。最初からそれが狙いで子どもを産んだのですね」

「違います!」

「前当主がかわいそう。大切なお孫さんを、あなたのような悪女に奪われて」

悪女というフレーズに頭の中が真っ白になる。他人から見れば、理仁さんをたぶらかした悪い女に見えているのかもしれない。

三原さんは振り仰ぎ、そびえたつ高層マンションのいただきを見つめた。

「あの古いアパートから、この高級なマンションに引っ越せて、さぞ幸せでしょう」

まるで浮かれた私の心を見透かすかのように言う。

理仁さんと一緒になり、家族三人で立派なマンションに暮らし、幸せを存分に味わっていたけれど。

その陰に理仁さんの犠牲があるのだということを、私は見て見ぬ振りをしていた。

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