結ばれてはいけない御曹司に一途な想いを貫かれ、秘密のベビーごと溺愛されています
「理仁さん!」

スーツを纏った理仁さんが正門の前に立っている。まだ帰宅するには早い時間なのになぜ?

三原さんも動揺した表情で理仁さんを見つめた。

「パパー! おかえりなしゃい!」

杏花がパパのもとに飛んでいく。

理仁さんはしゃがんで杏花に目線を合わせると「もう少しだけ遊んで待っていてくれるか? パパたちはお姉さんとお話しするから」そう言って中庭で遊んでくるよう促した。

「わかったー!」

杏花は手を振りながら元気に中庭へ駆けていく。杏花を見送った理仁さんは、三原さんへ鋭い眼差しを向けた。

「撤回してくれないか。俺の妻は悪女などではない。ましてや、他人であるあなたにどうこう言われる筋合いもない」

三原さんは愕然と目を剥き、「……他人」そうぼそりとつぶやいてうつむく。

しかし、次の瞬間、怒りを宿した荒々しい眼差しを私たちへ向けた。

「よく他人だなんて言えたものだわ。筋合いならある。私は前当主にあなたを任されたんだから! 藤ヶ音家とあなたを頼むと」

言葉の意味を理解できず、私は眉をひそめる。

弁護士として任されたという意味だろうか? だが、今の言い方ではまるで――。

「勝手な言い分だ。あなたとの縁談は断ったはずだが?」

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