結ばれてはいけない御曹司に一途な想いを貫かれ、秘密のベビーごと溺愛されています
驚きに体が強張る。ふたりは縁談をしていたの?

私の疑問に答えるかのように、理仁さんが口を開く。

「彼女の家は、代々政治家を輩出してきた名家だ。祖父はコネクション欲しさに俺と結婚させようとしていた」

前当主が私を認めなかったのは、孫を良家の令嬢である三原さんと結婚させたかったから――。

私より理仁さんに相応しい女性が目の前にいることに、居心地の悪さを覚え、胸の前で手をきゅっと握りしめた。

「コネクションだけじゃないわ。人間として私が相応しいからよ! イギリスの一流大学を出て弁護士資格を取得し一線で活躍する私の方が、お嬢様育ちのなにもできない女より人として断然優れて――」

「相変わらず高慢だな」

理仁さんが静かに一蹴する。三原さんの顔がカッと赤く染まり、怒りで口もとが歪んだ。

「祖父は世話になっていたようだが、俺とあなたは他人だ」

杏花を呼び寄せマンションに入ろうとする理仁さんの肩を、三原さんは掴み「待って!」と引き留める。

「前当主は縁談を断るつもりなどなかった。あなたに期待していたのよ? 好き勝手飛び回っているお兄様ではなく、あなたが藤ヶ音家を継ぐべきだと」

「知っている」

「だから、藤ヶ音家の当主に相応しい妻を用意したの」

それが自分だと訴えかけるように、自身の胸に手を置く。

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