結ばれてはいけない御曹司に一途な想いを貫かれ、秘密のベビーごと溺愛されています
「俺のパートナーに誰が相応しいかなんて、祖父が決めることじゃない。あなたでもない」

「でもっ……あなたは私と結婚しなければならないのよ! もう婚姻の準備は整っているんだから。前当主は私を嫁に迎え入れるために三原家に遺産の受け取りまで手配して――」

「遺産か」

理仁さんの冷ややかな声に、三原さんはしまったという顔をする。

「つまりあなたは、祖父に金で買われたということか。あるいは、遺産欲しさに俺のもとに来たと」

「ち、違――」

「今さら遺産を返せなどとは言わない。それを手切れ金にして、俺たちから手を引いてくれ」

三原さんがきゅっと唇を引き結ぶ。

「……私は、遺産のためだけに言っているわけでは……!」

悔しそうなその表情は、役目をまっとうしたいだけにしては、感情的すぎる気がした。弁護士としての冷静さも欠いている。

遺産のためではないとしたら、こんなにも結婚を進めたがっているのはなぜ?

理仁さんに、なにか伝えたいことがあるのでは?

だとしたら、一方的にはねのけては失礼なのではないだろうか。

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