結ばれてはいけない御曹司に一途な想いを貫かれ、秘密のベビーごと溺愛されています
理仁さんの声に、遊んでいた杏花が駆け寄ってくる。足もとに飛び込んできた杏花を、理仁さんは受け止め抱き上げた。

杏花が満面の笑みで理仁さんの首筋に抱きつく。その場所がすっかり気に入ったようだ。

「そういえば、今日は帰りが早いですね」

「ああ。育休とまではいかないが、しばらくは早く帰宅できるように調整した。ふたりがこの家に慣れるまで、一緒にいた方がいいだろう」

思ってもみない気遣いに感動し、私は「はい!」と笑顔で答える。

「帰ろう」

穏やかな声に背中を押され、いつもより軽いベビーカーを押す。

理仁さんが杏花を抱いてくれていると、安心感を覚えると同時に、ほこほこと胸が温まってくる。

抱かれているのは私じゃないのに、どうしてこんなに嬉しいのだろう。

杏花が愛されていると、私まで幸せになる。

こんなにも穏やかな気持ちで家に帰るのは初めてかもしれない。


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