結ばれてはいけない御曹司に一途な想いを貫かれ、秘密のベビーごと溺愛されています
「それにしても、どうして急にシャンパンなんて」

「息抜きは必要だ。それに――」

ふと理仁さんの眼差しが甘くなり、言いたいことを察した私は体温が上昇した。

「どうしても杏花中心の生活になるが……そろそろ俺たちのことも」

甘えるように切り出され、頬に熱がこもる。シャンパンのせいもあるけれど、それだけじゃない。

「その……理仁さんのことも、ずっと考えていますよ?」

「その割には目を合わせてくれないのはどうしてだ?」

指摘され、ちらりと彼を覗き込むと、艶っぽい表情を向けられてたじろいだ。

鼓動がどくどくと勝手に速まり、全身に熱い血液を送り出している。

「菫花」

甘いささやきとともに、彼の指先が私の髪に触れた。そこから頬を伝って唇へ行き、男らしい熱くて肉感のある親指が唇をトンと弾いた。

ぎくりとして強張り、この先を求める眼差しから目が逸らせなくなる。

「初めてのときより、反応が初心なのはどうしてだ?」

彼がくすりと笑う。初めてのときだって恥ずかしかったけれど、とにかく好きが溢れて夢中だったのでそこまで気にならなかった。今あらためて思い返すと、いっそう恥ずかしい。

「……あれは、若気の至りです」

「菫花は今もまだ若いよ」

私の髪を一房すくい上げ、顔の前で口づける。彼の吐息が蜜のように甘く鼻孔をくすぐった。

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