結ばれてはいけない御曹司に一途な想いを貫かれ、秘密のベビーごと溺愛されています
入籍はしたものの、結婚式はしていない。先日、ようやく両家の顔合わせを済ませたところで、式についてはまだ具体的な話が出ていないのだ。

受付のスタッフに予約の名前を伝えると、「お待ちしておりました」と奥へ案内された。

長い廊下を進みながら、私はそわそわと考えを巡らせる。

今日は婚礼プランの打ち合わせやフィッティングをするのかしら。理仁さんはどのくらいの規模の結婚式を考えているの?

なにしろ、藤ヶ音家の跡取りだもの、ご両親は盛大な式を挙げてほしいと思っているに違いない。

こうなると私たちだけの問題ではない。藤ヶ音家のみなさんの意見をしっかりと汲んで計画しなくては。

「ご両親にいろいろと相談しなければなりませんね。招待客のピックアップも、お仕事関係にまで広げると、かなり大規模になりそうですし……代々藤ヶ音家のみなさまはどんな式を挙げてらしたんでしょうか――」

< 175 / 182 >

この作品をシェア

pagetop