結ばれてはいけない御曹司に一途な想いを貫かれ、秘密のベビーごと溺愛されています
しかし、どこかあきれたように息をつかれ、私はあれ?と首を傾げた。

今まで褒められていると思っていたのだけれど、もしかして違う……? 『悪くも』ってどういう意味?

「ええと……確かに私は望んで嘘などつきませんけど、だからって全然気を遣っていないわけじゃないんですよ?」

「知っている。おいしいっていいながら、ラム肉をこっそり端に寄せてることも」

思わぬことを引き合いに出され、私はぎょっと体を起こす。

「本当においしかったんですよ? ただ、私が苦手だっただけで、ラム肉に罪はありませんから」

「そういう優しいところが好きだって言ってるんだ」

乱暴に抱き寄せられ、調子が乱された。恥ずかしいのに嬉しいという不思議な心地に魅せられる。

「すごく純粋で真っ直ぐで、でもすごく優しくて繊細で、清らかだ。その名の通り、菫の花のように」

優しいのは彼の方だ。私のことをそんなに褒めてくれるなんて。

きっとこの世界で彼だけだろう。こんなにも私を認め、受けとめてくれるのは。

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