結ばれてはいけない御曹司に一途な想いを貫かれ、秘密のベビーごと溺愛されています
「私、あなたの妻になりたい。人生でたったひとり男性を選べるとするなら、あなただと思うんです」

「ずいぶん熱烈なプロポーズだな」

「先に言ったのはあなたですよ」

吸い寄せられるように彼の唇に捕らわれる。

さっき愛し合ったばかりなのに、再び熱を思い出した体は、彼への愛おしさと不純な欲求で、痺れてままならなかった。



そして私たちは船を降り、それぞれの帰路についた。

理仁さんはイギリス赴任が続くけれど、もうしばらくしたら日本に帰国すると言っていた。

そうしたら双方の両親に挨拶をしよう。籍を入れて、式を挙げて、ふたりで暮らそう。そんな夢を語り合って別れた。

それが永遠の別れになるだなんて、そのときの私は思っていなかった。



実家に戻った私を待ち受けていたのは、両親が失踪したという知らせだった。

そして初めて、家業が負債を抱えていたと知る。

巧妙な手口で隠蔽されていた負債は、積もり積もってとんでもない額に膨れあがり、来期には隠すことすらできなくなるという。

両親は責任から逃れようとして姿を消したのか――いや、そこまで無責任ではないはずだ。思い詰めた挙句、自殺でもしようとしているのではないかと思うと不安でたまらなくなった。

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