結ばれてはいけない御曹司に一途な想いを貫かれ、秘密のベビーごと溺愛されています
私だけなにも知らされず、能天気にクルーズを楽しんでいたのだと考えると、心底悔やまれる。

両親はこれから苦労するであろう娘に、いい思い出のひとつでも作ってやろうとしていたのかもしれないが――できることなら私にも、その責任の一端を背負わせてほしかった。

私の帰国に合わせて、綿来製鉄の幹部が自宅までやってきた。

両親の失踪について、たくさん暴言を吐かれ責められたけれど、経営にノータッチだった私は、彼らがなにを言っているのかもわからなくてひたすら頭を下げるしかなかった。

とにかく、倒産の決断は待ってほしいとだけお願いして、1週間だけ猶予をもらった。

どうしたらいいかわからず途方に暮れていたとき、ふと理仁さんの言葉が頭をよぎる。

――『できないことに直面したとき、誰かに助けを乞うのも立派な解決方法だ』――

私は担当の弁護士や経営コンサルタントに連絡を取とうとした。現状を打開できるような、良案があるのではないかと思ったのだ。

しかし、負債の情報を公にすればパニックが起こるからと、幹部に止められてしまった。

自分には知識もなく、助けを求められる人もいない。

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