結ばれてはいけない御曹司に一途な想いを貫かれ、秘密のベビーごと溺愛されています
彼らの生活を壊してまで、理仁さんとの関係を続けたいだなんてわがままは言えなかった。

加えて両親が心配だ。一刻も早く見つけだしてほしい。

契約書にサインをすると、三原さんたちは三日で両親を探し出してくれた。

両親はやはり保険金を借金の返済にあてられればと自死を考えていたようだが、そう簡単に偽装工作はできないし、そもそも企業の負債に個人の保険金を当てたところで返済しきれるわけもない。

「菫花にまで負債を背負わせてすまない」

謝罪を繰り返す両親に、私は無事でよかったと安堵する反面、怒りも込み上げていた。

「私にも背負わせて」

もう守ってもらうだけの小さな子どもではないのだから。

「一緒に立て直しましょう。大丈夫、出資してくれる人を見つけたの」

両親がクルーズを勧めてくれたおかげで、奇しくも出資を得ることができた。

愛する人と一緒になることはできなかったけれど。

――まるでお金目当てで理仁さんに近づいたよう……。

手切れ金の存在を知れば、きっと彼は幻滅するだろう。とはいえその事実が彼に知らされることはない。

私はただ、彼の前から消えればいいだけだ。

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