結ばれてはいけない御曹司に一途な想いを貫かれ、秘密のベビーごと溺愛されています
杏花は一歳に近づいたあたりからよく熱を出すようになったけれど、そんなときの突然の休暇連絡も嫌な顔をせず応じてくれる。

ただ、少しだけスキンシップが過剰で困るときがある。肩を抱かれたり腰に手を回されたり――それさえなければ優しくて素敵なオーナーなのだけれど。

「菫花ちゃんてさ、実は料理、すっごく上手だよね?」

そんなことを言われたのは台風の日、お客さんがまったく訪れず、オーナーとふたりでキッチンにこもって新商品の試作をしていたときだった。

「料理は以前習っていたので」

就職しない代わりに、花嫁修業として料理を習っていた時期がある。それがまさか、こんなところで役に立つなんて。

「技術的なところももちろんだけどさ、盛り付けもセンスがあってかわいいんだよねー。映えるって言うかさ」

「映える……ですか」

そう言えばお客様はよく料理の写真を撮ってSNSに上げている。その写真を見て訪れたという新規のお客様もいた。

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