結ばれてはいけない御曹司に一途な想いを貫かれ、秘密のベビーごと溺愛されています
「理仁さん……」

あれから三年以上経つ。その間も、彼は私のことを考えてくれていたのだろうか。

私が一方的な、あまりにも横暴な別れを突きつけたというのに。

「俺の幸せは菫花といる未来の中にしかないと思っている。君が俺と一緒になってくれないというなら、俺は一生独身でいいよ」

「そんなっ……!」

それでは、なんのために私が身を引いたのかわからない。彼には身分のいい女性と一緒になり、幸せになってほしいのに。

「菫花が心配しなきゃならないのは、杏花の幸せの方だ。違うか?」

「それは……そう、もちろんそうです」

「君ひとりでも杏花を育てられるのかもしれない。だが、父親がいた方がより杏花のためになるのも事実だろう。君も、今より少しだけ楽な生活ができる。心に余裕が生まれれば、その分、杏花と向き合う時間だって増える」

今日一日、幸せそうだった杏花を思い出し、言葉に詰まる。理仁さんがいてくれた方が、杏花が幸せになれるのは間違いない。

洗い物を終えた理仁さんが、タオルで手を拭いてこちらにやってくる。

私の前に膝をつき、真摯な目で向き直った。

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