双子を極秘出産したら、エリート外科医の容赦ない溺愛に包まれました

「今夜は止められそうにない」

遠くスカイツリーを臨むリビングからの夜景を葵はソファに座り眺めている。

二年半ぶりに来た晃介のマンションは、ほとんど当時のままだった。

あの頃と同じソファとあの頃と同じ香りに、葵はまるでタイムスリップしてきたような気分になっていた。

彼と離れている間、意識して忘れようとしていたここでの幸せな思い出が次々と頭に蘇る。

あの頃と違うのは子供たちふたりがここにいることだ。

ふたりとも天井が高くて広い空間に大はしゃぎでソファによじのぼったりラグに転がったりしている。

もう二度と足を踏み入れることはないと思っていた場所に、子供たちといるということがとにかく不思議な気分だった。

ストーカーまがいの患者を追い返してから、晃介はすぐに双子と葵がしばらく過ごせるくらいの荷物をまとめた。
そして双子を保育園へ迎えに行き、そのままマンションへやってきたのである。

『葵は子供たちにご飯を食べさせてて、俺はもう一回行って残りの荷物を取ってくるよ。ここには三人が寝られるくらいの布団がないから』

そう言って、また葵のマンションへ戻っていった。葵は彼に言われた通り双子にご飯を食べさせた。

そして彼を待っている。

子供たちのことも、なにもかもしてもらって情けないと思うけれど、正直言ってありがたかった。

とにかく気が動転して荷物をまとめるのもままならない状態だったからだ。夕食も途中のコンビニで彼が買ってくれた。

しばらくすると玄関で物音がして、追加の荷物を抱えた晃介が帰ってきた。
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