双子を極秘出産したら、エリート外科医の容赦ない溺愛に包まれました
完全に姿が見えなくなったのを確認して、ふたりは家の中へ入る。
ドアが閉まる音にホッとして崩れ落ちそうに葵を晃介が抱き止めた。

「晃介……!」

「怖かったな、……もう大丈夫だ」

大きな腕に包み込まれてもしばらくは身体の震えが止まらなかった。
彼の胸にしがみついて、子供のように泣きじゃくってしまう。

「大丈夫、大丈夫」

晃介は取り乱す葵を抱いていてくれる。

低くて優しい声音と、頭をなでる大きな手の感触に、少しずつ落ち着きを取り戻す。

涙が止まりようやく話せるようになってみると、どうして彼がここにいるのかが気にかかった。

今日は来られないと言っていたはずなのに。

「晃介、今日は来ないはずじゃなかったの?」

問いかけると、晃介が頬の涙を手で拭い、額と額をくっつけた。

「仕事が思っていたよりも早く済んだから、寄ったんだ。急に君たちの顔を見たくなって。でも来てよかった……」

心の底から安堵したように言う。そして真剣な表情になった。

「葵、このまま子供たちを連れて俺のマンションへ行こう」

「……晃介のマンションに?」

「ああ、この家に君たちを置いてはおけないよ。さっきの男が戻ってこないとも限らないし」

晃介の言うことはもっともだった。

それにたとえ、もう二度と来なかったとしても、さっきの恐怖が頭にこびりついていて、とても今まで通り過ごせそうにない。

自分だけでも怖くてたまらないのに、子供たちを連れてここに戻ってくる気にはなれなかった。

「荷物をまとめて、子供たちを迎えに行こう」

晃介の言葉に、素直に頷いた。
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