双子を極秘出産したら、エリート外科医の容赦ない溺愛に包まれました
ため息混じりに答えると、父は時間と場所を告げて電話を切った。

やや憂鬱の気持ちで晃介は携帯を手に取る。

スケジュールを入れておくためだ。

すると葵から今日の帰宅時間を知らせるメッセージが入っていた。

今日は家に行くとあらかじめ伝えてある。

【いつも通り定時で帰ります。お迎えは父親になると保育園には伝えてあるのでお願いします】

夜勤明けで彼女よりも早く身体が空く晃介が保育園の迎えを担当することになっていた。メッセージの中の"父親"の文字に晃介の胸が温かくなった。

葵は、聡明な女性だと晃介は思う。

双子と晃介を交流させると決めたら、もう迷いはないようだ。

働きながら双子を育てるのがどれほど過酷なことかよくわかった晃介が、実際に助けになることをやりたいと言うと、無理のない範囲でやってほしいことを伝えてくるようになった。そして晃介が動きやすいよう段取りをつけてくれたのだ。

さっき看護師長が言っていた『飲み込みも早いし、患者さんからの評判もよかった』というのは事実だ。

晃介は立ち上がり、再び帰宅の準備する。

奨学金の件を経理に問い合わせるのはやめることにした。

葵のことだ。

きっとよほどの事情があったのだろう。そしてそれを晃介に言わないのなら、その方がいいと彼女が判断したということだ。

その彼女の考えを晃介は尊重したかった。

双子と公園へ行く時のために買った動きやすいダウンジャケットを身につけて晃介は部屋を出た。
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