※追加更新終了【短編集】恋人になってくれませんか?
(んん~~~~想像はしてたけど……多っ。一体何冊あるの、これ?)
ようやくロビーを抜けたサラが向かったのは、図書館の奥の奥。少々マニアックな本や、あまり人目に晒したくない蔵書が陳列されたあたりだ。その一角に、サラの目当てとなる本が並べられていた。
(黒魔術に白魔術……魔界考察って…………)
棚を占拠するラインナップを目で追いながら、サラはひっそりと息を呑む。タイトルを読むだけで身の毛のよだつような本ばかりがそこにはあった。
けれど、先程のアザゼルの様子から、一番手掛かりになりそうなのはこの手の内容だろうと考えたのだ。
(実際、『勘が良い』なんて言ってたし)
アザゼルを乗っ取った男の言うことがどこまで本当かは分からない。けれど、あの様子だと全くの的外れでもないのだろう。サラはブルりと震える身体を擦りながら、黙って視線を走らせた。
すると、本と本の間。影になってよく見えない辺りに隠れるようにして陳列された一冊が、サラの目を惹いた。
「これ……!」
本のタイトルは『悪魔召喚術』。何ともきな臭いタイトルだが、今のサラにはインパクト十分だ。
(もしも……もしもこの本に従って、アザゼルが悪魔を召喚していたら?)
そんなことを考えるだけで、背筋が凍りだしそうな感覚に襲われる。
けれどサラは勇気を出して本を手に取ると、そっと閲覧コーナーへ向かった。
館内にいくつも設置された閲覧用のテーブルは、元々マニアックな本のエリアということもあり、人も少なく快適だ。サラは空いた席の一つに腰掛けると、最初の1ページに手を掛けた。
ゴクリと耳の奥で唾を呑み込む音が聞こえる。ギュッと目を閉じ、恐る恐るページを捲ろうとしたその時だった。
「お嬢さん、その本は読まない方が良いよ」
誰かがサラに声を掛けた。しわがれた老人のような声だ。サラが振り向くと、そこには年のころ70歳位に見える、見知らぬ男性が一人立っていた。
「あ……あの」
何と答えるべきなのだろう。そんな考えが、サラを口ごもらせる。けれど男性はサラの心情もお見通しだったのか、フルフルと首を横に振った。
「悪いことは言わん。自分自身のためでないのなら、その本は開かない方が良い。悪魔に魅入られれば、元には戻れなくなるよ」
神妙な顔つきの男性に、サラは後ずさりした。
(まさか本当に……!)
正直言って半信半疑だったアザゼル変貌の原因に現実味が増してくる。
ようやくロビーを抜けたサラが向かったのは、図書館の奥の奥。少々マニアックな本や、あまり人目に晒したくない蔵書が陳列されたあたりだ。その一角に、サラの目当てとなる本が並べられていた。
(黒魔術に白魔術……魔界考察って…………)
棚を占拠するラインナップを目で追いながら、サラはひっそりと息を呑む。タイトルを読むだけで身の毛のよだつような本ばかりがそこにはあった。
けれど、先程のアザゼルの様子から、一番手掛かりになりそうなのはこの手の内容だろうと考えたのだ。
(実際、『勘が良い』なんて言ってたし)
アザゼルを乗っ取った男の言うことがどこまで本当かは分からない。けれど、あの様子だと全くの的外れでもないのだろう。サラはブルりと震える身体を擦りながら、黙って視線を走らせた。
すると、本と本の間。影になってよく見えない辺りに隠れるようにして陳列された一冊が、サラの目を惹いた。
「これ……!」
本のタイトルは『悪魔召喚術』。何ともきな臭いタイトルだが、今のサラにはインパクト十分だ。
(もしも……もしもこの本に従って、アザゼルが悪魔を召喚していたら?)
そんなことを考えるだけで、背筋が凍りだしそうな感覚に襲われる。
けれどサラは勇気を出して本を手に取ると、そっと閲覧コーナーへ向かった。
館内にいくつも設置された閲覧用のテーブルは、元々マニアックな本のエリアということもあり、人も少なく快適だ。サラは空いた席の一つに腰掛けると、最初の1ページに手を掛けた。
ゴクリと耳の奥で唾を呑み込む音が聞こえる。ギュッと目を閉じ、恐る恐るページを捲ろうとしたその時だった。
「お嬢さん、その本は読まない方が良いよ」
誰かがサラに声を掛けた。しわがれた老人のような声だ。サラが振り向くと、そこには年のころ70歳位に見える、見知らぬ男性が一人立っていた。
「あ……あの」
何と答えるべきなのだろう。そんな考えが、サラを口ごもらせる。けれど男性はサラの心情もお見通しだったのか、フルフルと首を横に振った。
「悪いことは言わん。自分自身のためでないのなら、その本は開かない方が良い。悪魔に魅入られれば、元には戻れなくなるよ」
神妙な顔つきの男性に、サラは後ずさりした。
(まさか本当に……!)
正直言って半信半疑だったアザゼル変貌の原因に現実味が増してくる。