ストロベリーキャンドル
・・・・

目が覚めてから一週間が経った。私は事故にあった怪我もだいぶ良くなってもう少し経ったら退院できるという。だけど、一週間が経っても嶺緒は目を覚まさない…
毎日祈ってる…

『明日嶺緒が覚ましますように』と…だけど願いはこの一週間かなっていない。

『お願いだから早く目を覚まして…』

そう願うことしかできない私は無力だと感じる。

『なんで私だけはすぐに目を覚ますことができたの?』

『嶺緒が私を守ってくれたから?』

ずっとそうやってどんどんマイナスの方にばっかり考えていた。

でも三日前嶺緒のお母さんがお見舞いに来てくれた。

・・・・

『ごめんなさい…私を助けてくれたから嶺緒が…』

『月葉。そんなこと言わないで…嶺緒はあなたを命懸けで守ったんでから…』

おばさん…

『それに、あの子が月葉を守んないで一人だけ助かっていたらめちゃくちゃ怒鳴ってたよ…』

『それに…幼馴染の女の子であり…彼女でもあるんだから助けて当然』

『おばさん…』

『それにあの子のことよ。すぐに目を覚ますはずだから。そんなに自分のせいだなんて思わないで』

『おばさん…ありがとう』

・・・・

おばさんがそうやって言ってくれてすごく救われた。自分ばっかり責めていた私を救ってくれた。だからマイナスに考えるんじゃなくて、1日でも早く目を覚ますように祈ることにする。

今日目が覚めなくても、あした目を覚ますかも知れない。何事もなかったかのようにケロッとするかも知れない。だから私たちは祈り続ける…嶺緒が目を覚ますまで、毎日欠かさず…だから嶺緒…早く目を覚まして…お願い…

──ダダダダダッ

すごい足音がするけど誰か廊下走ってるのかな?

──ガラガラッ

「月葉!嶺緒が.....嶺緒が目を覚ましそうなの」

「うそっ!ほんとに!?」

「今目を開けたの....」

本当に?嘘じゃ…ないの?

「今すぐ嶺緒のところに行きたい!」

「わかった!すぐに行こう」

私はおばさんと病院の廊下を走って嶺緒の病室まで行ってる。おばさんとこうやって走ることがあるなんて思ってもいなかった。こんな日が来るなんて…

でも、そんなことを思ってるよりも早く嶺緒に会いたい。目を開けているだけでもいい…早く…嶺緒の病室に着いて…

──ガラガラッ

「嶺緒!!った…ごめん、おばさん」

「私こそごめん」

おばさんと勢いよく入りすぎてつまずいた。

「それよりも嶺緒!!」

嶺緒の方を向く…

嶺緒は起き上がっていて窓の方を見ている…

「嶺緒!目覚めたの!?」

「嶺緒?」

「嶺緒?どうかしたの?」

私とおばさんがいくら話しかけても嶺緒に反応はない。一歩ずつゆっくりと近づいていく。

「嶺緒?」

──トントン

おばさんが嶺緒の肩を叩いた。

──ビクッ

嶺緒がいつもと様子がおかしい。こんなに肩を叩いてびびる人じゃない。それに怯えた目でこっちを見ている。
何かがおかしい…まるで私たちのことを忘れてしまったように…嶺緒がゆっくりと口を開けた。

「…おばさんっち誰…?」

それが嶺緒から出た言葉だった…
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