ストロベリーキャンドル

「そうだよね…ごめんね」

あぁー…言っちゃた。どうしよう…帰っていいかな?ここから逃げ出したい。
 
「今言われても、どうすればいいのかわからない」

「うん」

「はっきり言って前の記憶がない今、急に付き合っていると言われても困る」

「だよね…」

「だから、考えさせて。ほぼ初対面になる子に、付き合っているなんて言われたらどうすればいいのかわからない」

あぁ…泣きたい…早くこの場から離れたい…

「うん。じゃあとりあえず帰るね」

「あぁ…じゃあな」

「うん」

嶺緒の病室を出た後すぐには車に戻らなかった…泣きたかった…今すぐに誰かを呼んででも泣きたかった。

輝羅…瑠奈…だけど二人とも嶺緒が記憶喪失になっていることを知らない…勝手にいうことはできない…

嶺緒…れお…

なんでこんなことになっちゃったんだろう…二人で普通に17歳の誕生日を迎えるはずだったのに…なんで…なんで神様はこんなに酷いことを…私たちにしたの?…

「もう…どうしたらいいのかわかんないよ」

病院の誰もいないベンチで一人で泣いた…誰もいないところで…泣いた…悲しくて、苦しくて…前を向こうって思ってたに…無理だよ…

どうにもできない…そんなことはわかってる…

嶺緒の記憶が戻るのがいつなのかそんなこと誰にもわからない…だけど…辛い…こんな悲しい思いなんてしたくなかったよ…

私が…あのとき遊園地に行きたいと言わなければこんなことにならなかったんだよね…きっと…それに、私が車に気がついて少しでも早く動いていたら嶺緒も事故に遭わずに済んでのかな…

もう…考えれば考えるだけ、どんどん悲しくなってくる無理だ…私やっていけないよ…

「どうすればいいの....」

何分泣いたかわからないくらい泣いた…途中お母さんからラインが来たけど、もう少し待ってと返した。

多分今すぐ帰ったらまた泣く気がするから…
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