ストロベリーキャンドル
・・・・
一週間後…
嶺緒が退院する日になった。病院に行ったのはおばさんとおじさん。それから澪緒と私。ちゃっかり結城家のメンツにお邪魔させてもらっている。いくら幼馴染だとしても流石にちょっと緊張する。
嶺緒の服とか閉まって、杉浦先生とちょっと話をして車に乗った。おじさんと澪緒はお見舞いに何度かきていて、嶺緒はちゃんと家族だってことをわかっている。
だけど、家に帰ったら私たちの家族と退院祝いのパーティーをすることになっている。もちろん嶺緒も知っている。私の家族に、兄と双子の妹弟がいるということを…それを承知の上で、いいよと言ってくれた。家に着いて、最初に結城家に入った。
まー当たり前だけどね…自分の家なのに、やっぱりどこかソワソワしている嶺緒。
私と澪緒が嶺緒を2階の部屋まで連れて行った。嶺緒に扉を開けるようにいうと、ちょっとドキドキしながらドアを開けた。
「ここが…俺の部屋…」
「そうだよ…全部嶺緒のものだから、自由に使いなよ」
なんか、上から目線になっちゃった
「お兄ちゃん…今日私と遊べる?」
「遊べるよ。何して遊ぶ?」
嶺緒がお兄ちゃんの顔つきになった!いくら記憶がなかったとしても、嶺緒は澪緒のお兄ちゃんなんだ!そう思うとちょっぴり嬉しかった。
──ピーンポーン
インターホンが鳴って私たちは1階へ降りた。相手が誰かわかっているから…
おばさんがドアを開けると外にいたのは私の家族だった。
「はるかーこれでよかった?」
「うん!ありがとう。買い出しに行ってくれて」
「いえいえ。お邪魔させていただくので」
お母さんと、おばさんが話をしている。
「お邪魔しまーす!」
「いらっしゃい!音羽、湊斗」
「「澪緒ちゃん!!」」
音羽と湊斗、澪緒は3人でリビングに行った。
「お邪魔しまーす」
ただそれだけ言ってお父さんもリビングに行った。私の家族、自由だなー
残されたのは、お兄ちゃんだけだった。なんかーかわいそう。そしてそんなこと思っちゃう妹でごめんなさい。
「ようっ!嶺緒。元気そうじゃん!」
「あの…月葉のお兄さんだよね?」
「あーそうだったっけね。俺は月葉の兄の奏斗。大学1年」
「奏斗…よろしく」
「あぁー」
お兄ちゃんだけだー。ちゃんとわかっていたの。みんないつも通りだから忘れてるのかな?
私たち3人もリビングへ行った。リビングに行くと、各々好きなことをしていた。
父親同士はソファーに座ってサッカー見てるし、母親同士はキッチンで料理をしている。兄弟たちは、遊び部屋で遊んでいた。
全然退院パーティーじゃないじゃん!いつも通り、普通の生活しているのと同じじゃん!
お兄ちゃんの方を向いたら、お兄ちゃんは特に何も思っていない様子だった。
嶺緒の方を向くと、何も気にしていないかのようにただ家族を見ていた。
はぁー…ここは私が言うしかないのか?ふぅー…吐息を思いっきり吸った。
「みんな自由にしすぎ!嶺緒が困ってんじゃん!嶺緒普通にしてるけど、記憶ないからみんなのこともそんなにまだわかっていないんだよ!それと、お父さんたちも嶺緒に名前とか言いなよ!」