落ちこぼれ白魔術師ですが、潜伏先の幻獣の国で賢者になりました ~絶対に人間だとバレてはいけない、ドキドキスローライフは溺愛付き~
「そうですか。あの、中に入ってもいいですか?」
「ああ、いいぞ。しかし、気を付けろ。あまりこいつに近付くなよ」
「ええ。もちろん」
 しっかりと頷き、私は錆びた扉を潜った。目の前に立ってもアレンは顔を上げず、ぴくっと肩を動かしただけ。彼はなぜ国王や神官長に忠誠を誓うのか。大隊長でありながら、プライドを捨てて暗殺を受け合いドーランへの侵攻を諦めないのはどうしてか? それが、単純に知りたくなった。
「アレン大隊長。パトリシアです」
「……」
「あなたは、ドーランに恨みでもあるのですか? この国の誰かになにかをされたのですか?」
「……」
 答えは返ってこない。少しの情報も与えるものか!という忠誠心だろうか? それとも別の考えがあるのだろうか? 思案しながら、私も質問を模索する。
「戦争は誰にとっても利益にはなりません。傷付いたり、時には命を落としたり……」
「そんなことは知っている! わかったような口を聞くな、小娘が!」
 突然アレンは顔を上げ激昂した。
「貴様、パトリシアに暴言を吐くなど許せん」
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