落ちこぼれ白魔術師ですが、潜伏先の幻獣の国で賢者になりました ~絶対に人間だとバレてはいけない、ドキドキスローライフは溺愛付き~
 名前を聞いた瞬間、ヴィーとティアリエスが顔を見合わせた。ふたりは同じように目を見開き、驚愕の表情だ。もしかして、知っている人だったのかしら? でも、人間であるグラウニクがヴィーやティアリエスと関係があるなんて考えられないけれど。
「あの、ヴィーとティアリエスさんは神官長を知っているのですか?」
 まさかと思いつつ、聞いてみた。すると、驚くべき答えが返ってきたのだ。
「ああ。そいつはドーランにいたことがある。ティアリエスの下で屋敷の書庫の管理をしていた」
「……そうです。グラウニク・ゴート! その名を一日だって忘れたことはありません!」
 いつも冷静なティアリエスがとても憤慨している。それにも驚いたけれど、私には他に気になることがあった。
「で、でもそれは変ですよ。だってドーランは人間の国と国交はないし、そもそも人間は入れないのではないのですか?」
 私がドーランに入った最初の人間だと勝手に思っていたけど、違うの? その答えはヴィーがくれた。こういうのはだいたいがティアリエスの役目なのだけど、彼は今、気が昂っていてそれどころではない。
「人間ではないのだ、パトリシア」
「は?」
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