ウィザードゲーム〜異能バトルロワイヤル〜

第13話 11月20日

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 廃トンネルには5人の人影があった。

 学校を抜け出して集まった奏汰、大雅、瑚太郎、アリス────そして蓮の表情は一様に暗い。

「今朝のホームルームで、陽斗と昨日から連絡がとれないって……」

 瑚太郎の言葉に「ああ」と大雅は頭をもたげる。

「……陽斗と繋いでたテレパシーも切断された。殺されたんだと思う。たぶん、祈祷師かその仲間に」

 悲しみも戸惑いも追いつかず、硬い声色で淡々と言う。
 動揺はそれだけに留まらなかった。

「……小春は?」

 今日は彼女の姿まで見えない。

 大方、事情を把握しているだろうと踏んでアリスが蓮に尋ねた。
 けれど、彼は蒼白な顔で俯くだけだった。

「分かんないんだって。連絡もとれなくて」

 代わりに奏汰が答える。

「帰りは一緒じゃなかったのか?」

「……途中までな。踏切で分断されて、電車が通り過ぎたらいなくなってた。捜し回ったけど、どこにもいない」

 家にも姿はなかったものの、出迎えてくれた彼女の母親に、小春からだというメッセージを見せられた。

 “友だちの家に泊まりにいく”という内容で、時刻は18時34分。

 それ以降は何の音沙汰もない。

「なあ、テレパシーは? 繋がってるか?」

「それが……」

 大雅は難しい表情を浮かべる。
 小春とのテレパシーは、少し妙な状態だった。

「繋がってると言えば繋がってる。……けど、なんつーか変な感じなんだ。互いに声が届かねぇ」

「どういうことだよ?」

「俺にも分かんねぇ。こんなの初めてだ」

 まさしく“オフライン”のような状態になっているのだ。
 テレパシー自体の切断はされていない。それでも、声が届かない。

「……消えたってことは、瞬間移動させられたのかも」

「だとしたら、相手は祈祷師と如月くんかな」

 ────冬真の“琴音殺害”という目的にに協力した祈祷師。

 彼はただ者ではない。
 聞く限り、ありとあらゆる異能を扱うことができる。

「……やられたって言うのか? 小春が」

「まあ、単独じゃ対抗手段もないしなぁ。言うても空飛べるし、逃げられるはずやけど」

 その言葉は、蓮にとって希望的観測のように感じられた。そうだといい。

 小春の身に何かあったのだとしても、逃げて無事ならそれでいい。

「でも、逃げたなら蓮や俺に連絡とるんじゃねぇか? つか、俺らと合流するだろ」

 大雅の真っ当な意見には、蓮もうなだれるしかなかった。

 ついネガティブな想像へ枝を伸ばしかけて、慌ててかぶりを振る。

 希望が(つい)えたわけではない。
 テレパシー自体は切断されていないのだ。生きている可能性は十分にある。

(……いや、生きてるに決まってる。俺の知らねぇとこで死なせてたまるかよ)

 蓮は固く口を結び、拳を握り締めた。

「なあなあ、ところでうららはどうなったん?」

 救出に失敗し、冬真のもとに置き去りになっている彼女。
 大雅は答える。

「無事だ。けど、完全に人質に取られたな」

 そういう意味では、命の保証はされている。
 しかし、彼女を生かしていることには意味があるはずだ。

 冬真はまた、何かを企んでいる。
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