実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
そのまま、手を引かれて王宮のどこまでも続く赤い絨毯の廊下を進んでいく。
半ば強引に腕に回された手。
少しだけ早い歩調に、いつもどれだけ合わせて歩いてくれていたのかを知る。
「レザール様……」
「……王宮が危険な場所だなんて、十分知っているはず。どうして一人で来ようなんて」
「――――ご迷惑をかけたくなかったんです」
「なぜ? むしろ、この場所が危険だと分かっていながら、あなたを求めてしまったのは俺のほうです」
ささやくような二人の会話。
どこか怒りを滲ませた声音。
大きな扉の前で、その歩みがピタリと止まる。
「……俺では、頼りになりませんか」
「え?」
驚いて思わずレザール様のことを見つめてしまう。
三年前、守ってあげたいと思った幼い少年は、魔術師団長になって、私よりもずっと高くなった目線でこちらを見下ろしている。