Restart〜二度目の恋もきみと
「何で別れたかは知らないけど
未練あるなら素直になったほうが良いとおもうけど?」

「未練なんてあるわけ...」

あり過ぎて
ないとは嘘でも言えなかった。

言葉を詰まらせた俺に
黒木はプッと吹き出した。

「だろうな?
未練がなければ今だに結婚指輪
を薬指に嵌めてないだろ」

黒木に指摘されて
咄嗟に左手の指輪を隠した。

それを見て黒木は「図星っ」と
ケタケタとお腹を抱えて笑っている。

俺は「黙れ」と怒声を上げながら睨むと
コーヒーカップを手に取るが
すでにカップの中は空で
再びそれを元に戻した。

それを見て黒木がさらに
クククッと壺に入る。

「桜良ちゃんはもう指輪してないけどね。
女性って切り替え早いよね」

黒木の言葉が胸にグサリと刺さり
さーっと血の気が引いていく。

俺の動揺した様子に黒木は更に
お腹を抱えて笑いだした。

完全に黒木に遊ばれているのに
言い返すことができない俺は
無理矢理話題を仕事に戻した。
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