Restart〜二度目の恋もきみと
整形前の写真が会社の竜海さん宛に送られてきて「なぜ教えてくれなかったのか」と問われたときに、私はただ謝ることしかできなかった。

それから数日間は二人の間でギクシャクした
空気が流れた。そして、私を避けるかのように竜海さんの残業や出張も増えていった。

しかし、このままではいけないと竜海さんともう一度話し合うことを決意した矢先、今度は自宅に竜海さんと竜海さんの秘書の松谷さんがホテルから出たところが撮られた写真が送られてきたのだ。

私は最初、目を疑ったが、それは紛れもない竜海さんだった。もしかしたら、私に愛想を尽かして松谷さんに心変わりしてしまったのかもしれない。
それに追い打ちをかけるかのようにあまり家に帰って来なくなった竜海さんに私の心はポッキリと折れてしまった。

竜海さんが出張から戻ったときに
この苦しさから逃れたくて
私は別れを切り出したのだ。

そのときの私は浮気を問い詰める気力なんてなかった。それにもし竜海さんの口から浮気を肯定する言葉が出たら、心が完全に壊れてしまいそうな気がして恐かった。

私は胸元に光る結婚指輪をギュッと握りしめた。離婚してからも手放すことができずチェーンに通してネックレスにしたのだ。

「仕事に行かなくちゃ... 」

私は母や父に心配かけないように
涙を拭いながらグスッと鼻をすすると
ベッドから降りて一階へと向かった。
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