春の花咲く月夜には
「梅の山駅」に到着し、ドアが開くと、私と彼は電車を下りた。
まばらに歩く人の中、私たちは、無言でホームの上を2人で歩く。
ーーー先生のことを話した後から、どこか空気がぎこちない。
私はさっきの決断を、早くも後悔し始めていた。
(・・・やっぱり、『先生にはもう会わない』って、伝えておくべきだったかな・・・)
今からでも、遅くはないかもしれないけれど。
ぎこちない空気が流れる中で、ますます伝えにくくなってしまった。
(いざとなると、賀上くんが私を好きなのかどうかも自信がないし・・・)
それっぽいことは何度か言ってくれたけど、「付き合ってほしい」とか「好き」だとか、きちんと言われたわけじゃない。
それに、葉月さんの「代わり」なだけで、一時的なものかもしれないし・・・。
(・・・って、ダメだ・・・。どんどんネガティブに考えてしまう・・・)
せっかく、わざわざ電車を下りて送ってくれているのにな。
今日はもうすぐさよならするのだし、もっと明るい雰囲気で、話ができたらいいのだけれど・・・。
(・・・、あっ、そうだ)
「賀上くん」
「はい?」
「近いうちに、今日のお礼がしたいんだけど・・・、賀上くんが行きたい場所とか、食べたいものとか欲しいものとかなにかあるかな」
今日は、完全に私がお世話になったのに、賀上くんが全て支払いを済ませてくれた。
せめてスタジオ代はと思ったけれど、事前にカード決算をしていたようで、「もう済んでます」と言われて現金も受け取ってもらえなかったのだ。
「いいですよ。オレがすげえ楽しかったし」
「うん、でも、色々予約してもらったし・・・、ギターも楽しかったから。なにかさせてもらえると私が嬉しい」
今日、賀上くんはたくさんのことをしてくれて、私は嬉しかったから。
私も、喜んでもらえるなにかがしたい。
伝えると、賀上くんは少し考えるような間をおいて、「そっか」と言って笑った。
まばらに歩く人の中、私たちは、無言でホームの上を2人で歩く。
ーーー先生のことを話した後から、どこか空気がぎこちない。
私はさっきの決断を、早くも後悔し始めていた。
(・・・やっぱり、『先生にはもう会わない』って、伝えておくべきだったかな・・・)
今からでも、遅くはないかもしれないけれど。
ぎこちない空気が流れる中で、ますます伝えにくくなってしまった。
(いざとなると、賀上くんが私を好きなのかどうかも自信がないし・・・)
それっぽいことは何度か言ってくれたけど、「付き合ってほしい」とか「好き」だとか、きちんと言われたわけじゃない。
それに、葉月さんの「代わり」なだけで、一時的なものかもしれないし・・・。
(・・・って、ダメだ・・・。どんどんネガティブに考えてしまう・・・)
せっかく、わざわざ電車を下りて送ってくれているのにな。
今日はもうすぐさよならするのだし、もっと明るい雰囲気で、話ができたらいいのだけれど・・・。
(・・・、あっ、そうだ)
「賀上くん」
「はい?」
「近いうちに、今日のお礼がしたいんだけど・・・、賀上くんが行きたい場所とか、食べたいものとか欲しいものとかなにかあるかな」
今日は、完全に私がお世話になったのに、賀上くんが全て支払いを済ませてくれた。
せめてスタジオ代はと思ったけれど、事前にカード決算をしていたようで、「もう済んでます」と言われて現金も受け取ってもらえなかったのだ。
「いいですよ。オレがすげえ楽しかったし」
「うん、でも、色々予約してもらったし・・・、ギターも楽しかったから。なにかさせてもらえると私が嬉しい」
今日、賀上くんはたくさんのことをしてくれて、私は嬉しかったから。
私も、喜んでもらえるなにかがしたい。
伝えると、賀上くんは少し考えるような間をおいて、「そっか」と言って笑った。