春の花咲く月夜には
重たくなった気持ちを抱え、家に帰ってスマホを見ると、元村先生からメールが来ていた。

告白の返事はともかく、賀上くんに今日のお礼を伝えようと手にしたスマホだったけど、先生からの着信に、私はハッと思い出す。


(・・・そうだ。先生にも連絡しなきゃと思っていたもんね・・・)


賀上くんからの告白を受け、そのことで頭がいっぱいだったから。

私は、急いでメールを開く。


『心春、元気ですか。

あれから連絡がないままなので、体調を崩しているんじゃないかと思いメールをしました。

できれば早く会えると嬉しいですが、体調を崩しているのなら、治ってからでも大丈夫なので連絡ください。』


(先生・・・)


私を気遣う文章に、どうしようもなく心が揺れた。

だけど・・・と、私は強く心を決めて、変わらず元気であること、そして、先生にはもう会えないという内容のメールを書いて送った。

するとすぐ、先生からの返事が届く。


『やっぱり、心春はあの時のことを誤解したままでいるのかな。

このまま会えなくなるのはすごく悲しいことだから、きちんと説明したいんだ。

会うのは本当に少しの時間で構わないので、もう一度考え直してくれたら嬉しいです。』


(・・・会えない理由が、『誤解したままだから』ではないけれど・・・)


ーーーずっと、好きだった人。

ずっと、思い出とともにあった人。

その相手からこうしたメールを受け取って、心が動かないわけはない。

だけど・・・だからといって、先生とは、やっぱり会わない方がいいと思った。

賀上くんのこと、先生の奥さんのこと・・・、考えると会うべきではないと思ったし、私自身、会えばまた先生に気持ちが引っ張られ、つらくなるような怖さもあったから。


(ここまで書いてもらったのに、断るのも勇気がいるけど・・・)
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