春の花咲く月夜には
月曜日。

また一週間が始まる・・・と思うと、毎週、多少なりとも気怠さや憂鬱さを感じるけれど、今日は、そういったものとは違う、緊張感が私にあった。

それは、賀上くんと会社で会ったらどういうふうに接しよう・・・という、悩みからくるものだった。

同じ会社とはいえ部署は違うし、見かけることはあっても実際「会う」というのはそもそも少ない状況だけど。

目が合えば挨拶していたし、休憩所やエレベーターで会った時には普通に会話を交わしてた。

だけど今、この状況で、どんなふうに接すればいいのか・・・接していいのかわからなかった。


(あれから、なんて返事をしようかずっと悩んでいるけれど、まだ答えは決まってないし・・・)


きっと、普段通りでいるのが一番いいと思うけど、私にそれができるだろうか。

過剰に意識してしまい、おかしな態度をとりそうな・・・。

私の答えが出るまでは、できれば賀上くんには会わないことを願ってしまう。

とりあえず、会社ではできるだけ普通でいられるように、心掛けるしかないかもしれない。




朝の通勤途中、賀上くんを時々見かけることがある。

なるべく顔を合わせないよう、今日はあえて少し遅い時間の電車に乗ってみた。

すると、そんな時に限って何かの事故で電車は遅延。

会社の最寄り駅に着いたのは、想像よりもかなり遅い時間になってしまった。


(これは、さすがにやばいかも・・・!)


遅延証明書はもらったけれど。

やっぱり、始業に間に合うようにと焦ってしまう。

私は、電車を降りて改札口を出るとすぐ、小走りで会社に向かった。

「・・・っ、はあ・・・っ」

小走りとはいえ、久しぶりの中距離走。

運動不足、パンプスの足には結構キツイ。


(でも、とりあえずは間に合いそうかな・・・)


会社が入っているビルの前。

腕時計を見てみると、あと5分ほどで9時だった。

これなら、エレベーターが多少来なかったとしても、始業にはギリギリ間に合いそうだ。

よかった・・・とほっとして、立ち止まり、私はふうっと息をはく。
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