春の花咲く月夜には
(・・・賀上くん、もう、ほんとに優しい・・・)


「好きになるまで」と彼に言われたけれど、とっくに好きになっている。

昨日より今日の方が絶対好きになってるし、さっきより、今の方が好きになっているくらい。


(だけど・・・)


やっぱり私は、彼と一緒にいられる自信はないままだ。

けれど、断る選択は後悔するのもわかってる。


(・・・本当に、どうしたらいいのかな・・・)


考えながら、はあ、と息をついた時、後ろから、「よっ!」と背中を軽くたたかれた。

驚いて、ぐるっと後ろを振り向くと、右手を上げた笑顔の紗也華が立っていた。

「さ、紗也華・・・」

「ふふ。心春、今日の夜ひま?」

「・・・え?」

紗也華の突然の登場とお誘いに、私はポカンとしたまま戸惑いがちに頷いた。

すると紗也華は「よしっ」と言って、満足そうにニイッと笑った。

「じゃ、久しぶりに飲みに行こ。いい店予約しとくから」









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