春の花咲く月夜には
そこから、マサさんの車に乗って約15分。

一見すると、かわいい雑貨屋さんのようなマサさんの店・・・「rabbit」へと辿り着く。

車内では、マサさんがずっと楽しい話をしてくれたので、私は終始笑って過ごした。

さっきも助けてもらったし、マサさんには、後できちんとお礼を伝えたい。


(・・・『rabbit』か・・・、なんだか懐かしいな・・・)


車から降りて、お店の前でふと思う。

ここは、賀上くんと初めて一緒に来た場所だ。

あの日のことを思い出し、胸が少し、キュンとする。

「さ、入って入って~。アタシ抜きで適当にやってると思うんだけど、サクちゃんの知り合いだし、楽しくていい子たちだから大丈夫よ~」

マサさんは、足りないものがあって買い出しにきていたそうなのだけど、お店の中では、現在進行形で常連さんたちがずっと飲んでいるらしい。

店員不在のお店はちょっと心配になってしまうけど、長年の付き合いがある常連さんたちということで、マサさんは安心して留守を任せていたようだった。

ドアを開けると、マサさんが「ただいま~」と中に向かって挨拶をする。

「あ!マサさんおかえり~!!」

「おかえりなさーい」

マサさんの後に続いてお店の中へと入っていくと、バンドマンのような雰囲気の男女4人・・・、30代前半くらいの男性3人、女性1人が上機嫌でこちらに向かって手を振っていた。

私は緊張しながら顔を出し、4人に軽く会釈する。

「あれ?マサさんその子誰~?」

「心春ちゃんっていうの。サクちゃんの・・・・・・、会社が同じだったわね」

「っ、はい」

「サクやんと!?うわー、私、サクやんのサラリーマン姿って未だに想像できないんだよねえ。えー、色々聞かせてよ。こっち来て、一緒に飲も!」

「こっちこっち」と促され、私は戸惑いながらも女性の隣・・・、4人掛けテーブルの空いている席に「失礼します」と言って座った。

目の前には、男性2人。

もう1名の男性は、以前私と賀上くんが座った二人掛けの席に1人でゆったりと座っている。
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